いつモノコト

オカムラ“オフィス家具”を読書イスとして自宅に導入してみた

オカムラ ライブス パーソナルチェア

一人暮らしの我が家のリビング・ダイニングはこれまで食事をするだけで、何か長い時間を過ごす場所としては活用できていませんでした。そこで、いい具合の小さなソファかイスを置こうと思い、しばらく探していたところ、「オフィス家具の中古を買う」という選択に至り、最終的にいい塩梅と思えるところに落ち着いたので、簡単に紹介してみたいと思います。

当初は漠然としていて、どっしり座れるラウンジチェアのようなものを考えていましたが、「どう使うか」を熟考し、「読書」「原稿のテキスト作成など、ノートPCで完結する作業」の2つに絞りました。

作業のためのイスというとオフィス用のワークチェアが思い浮かびますが、設置場所の候補がほぼキッチンであるリビング・ダイニングであることも考慮して、リクライニングチェアとかのリラックス路線は避けつつ、オフィスチェアよりはもう少しカジュアルな雰囲気を兼ね備えたものはないだろうか……と考えを巡らせていたところ、以前(2021年)に取材でお邪魔したオカムラのオフィスの中で「ちょっといいかも」と印象に残っていたイスがあったことを思い出しました。

それが今回買ってみた、オカムラ「ライブス」シリーズの「パーソナルチェア」です。シリーズは2017年の後半に発表、2018年から展開されたようで、オフィスがコロナ禍の影響を受ける前にデザインされた製品群ですが、この「パーソナルチェア」は、名前の通り「ひとりで集中したい時」に座るという、フリーアドレスが普及した現在も通用するコンセプト。ヘッドレスト部分に左右の視界を遮る「ワークヴェール」が付いているのが特徴です。

2021年にオカムラのオフィスを取材した際の写真。ユニークでスッキリとしたデザインが印象に残っていました

中古だと手の届く価格に

こうした法人向けに販売されるオフィス家具、特にオカムラの製品群は、非常にしっかりとしたつくりであると同時に、プライスタグそのままではかなり高額であることがほとんどです。ところが、いざ製品名でググって調べ始めると、オフィス家具の中古商品を扱ういくつかのサイトで販売されていることに気がつきました。

このパーソナルチェアは(仕様にもよりますが)新品だと40~50万円ぐらいの価格設定で、新品から割引されたものでも30万円台と、そもそも購入を諦める価格帯でした。しかし中古商品の多くは5~9万円で販売されており、中古なら買えそうということで選定を始めました。

色だけでなく袖机(ミニテーブル)の有無などいくつかバリエーションがあるので、私は袖机あり、色はグレーかグリーンという条件にして、2カ月ほど巡回を続けていたところ、ちょうどよい出物に巡り会えました。かなり綺麗なコンディションで、実際に届いてチェックしても、使用感がほとんど感じられない、状態の良いものでした。

貼り付けられているラベルに記載された製造年は2021年で、「JOIFA標準使用期間」は(オフィスチェアで標準的な)「8年」となっているので、耐久度の面でもまったく問題なさそうです。

使用感のない綺麗な商品でした

購入した商品の価格は66,000円。送料は家具用の配送を使うので高く、10,945円でした。購入したのはYahoo!ショッピングに出店している店で、運良く(?)Yahoo!ショッピング側から提供されていた20%オフクーポンを適用でき、本体価格が13,200円も割引になったので、高額な送料は帳消しになった格好です。ちなみに配送は有名な引越し会社の家財道具配送サービスで、スタッフ2名で来て室内まで丁寧に運び入れてくれました。

ミニテーブル付きがやっぱり便利

「ライブス パーソナルチェア」は後傾・低座というコンセプトに基づき座面が低くなっているので、家庭の一般的な机と組み合わせても高さのバランスが取れません(先のオカムラのオフィス内で撮影した写真でも、専用の机とセットになっています)。ちょっとした作業もできるという目的のためにも「袖机あり」の仕様を選びました。実際に届いて使ってみても、この袖机の存在は私の目的に必須ともいえる便利さで、変に妥協して袖机なしバージョンにしなくて良かったと思いました。

ミニテーブル付き。ノートPCの作業も可能(これが本来の使い方です)

リラックス目的の製品ではないため、リクライニング機構はなく、基本的に体が起きたポジションで固定されていますが、能動的な作業には集中しやすいと感じます。

ヘッドレストが頭の左右を覆う特徴的な「ワークヴェール」は、家庭ではそれほど意味はないかも、と思っていましたが、実際に座って壁(我が家では窓やカーテンですが)を向けば、確かに視界の端からノイズが消えて、ちょっとした個室のような雰囲気に感じられ、目の前のことに集中しやすいと感じます。

座ってみるとワークヴェールの効果を感じられました

知の旅路 その専用座席

年齢のせいなのか分かりませんが、私は年々、もっと本を読みたいという欲求と、自由な時間をダラダラと過ごしてしまう“実態”との乖離がひどくなってきたように感じています。

読書はどこでもできるわけですが、その「どこでも」のほとんどには、スマホをはじめとしたデジタル機器が待ち構えており、結果として、読書を後回しにすることが増えていました。また、よくよく考えるとこれは読書に限ったことではなく、趣味のものごと全般で、集中力の確保に一苦労しているんだなと改めて思いました。

ダラダラとほかのラクなことをしてしまう環境から離れられる「集中できる場所を設ける」というのが今回の目標で、これは達成できたように思います。デジタル機器が少ないリビング・ダイニングに設置できたのもよかったでしょうか。

設置して使い始めると、当たり前ですが、食事以外でリビング・ダイニングに滞在する時間が増えました。平日の日中はちょっとした休憩で使うぐらいですが、1日の終わりに読書イスとして使うようになり、これまで寝る間際にベッドの中で読書をしていた時間を、こちらのイスで過ごすようになりました。ベッドと違い、大きめ・重めの本も難なく読めます。

小さくはないサイズですし、デザインを含め、狭い我が家ではかなりの存在感です。同時に、リビング・ダイニングに“主役級の家具が来た”という感覚もあり、満足感は非常に高いです。一人暮らしならではの配置といえますが、特別な雰囲気の読書専用座席ができて、かなり喜んでいます。

太田 亮三