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ispace、日本初の民間月面着陸目前でミッション断念

予定されていたMission 2のマイルストーン(出典:ispace)

ispaceは、民間企業として日本初、アジア初の月面着陸として挑戦していた、Mission 2“SMBC×HAKUTO-R VENTURE MOON”について、月への着陸を目前にしていたRESILIENCEランダー(月着陸船)との通信が途絶え、回復が見込まれないことからミッションを断念したと発表した。

ispaceは、東京の日本橋にあるHAKUTO-Rミッション・コントロール・センター(管制室)から6月6日3時13分(日本時間)、着陸シーケンスの実行を指示するコマンドを送信。RESILIENCEランダーは降下開始のために月周回軌道を離脱、高度約100kmから約20kmまで惰性降下を行なった後、予定通り主エンジンを噴射し、減速を開始していた。

ランダーの姿勢がほぼ垂直になったことを確認したものの、その後、テレメトリが消失。4時17分に予定していた着陸予定時刻を過ぎても、着陸を示すデータを受信できなかった。

現時点で把握されている状況として、月面との距離を測距するレーザーレンジファインダーにおいて、有効な計測値の取得が遅れ、予定されていた月面着陸に必要な速度まで十分に減速ができていなかったことから、ランダーは最終的に月面へハードランディングした可能性が高いという。

通信が途絶えたあと、ランダーのリブート(再起動)も試みたが、通信の再確立に至らなかったことから、ミッション2マイルストーンのSuccess 9「月面着陸」は達成が困難であり、ミッションは終了と判断された。現在は原因究明のため解析を続けており、完了次第発表する予定。

RESILIENCEランダーはSpaceXのFalcon 9により1月15日に打上げられ、月着陸までの10段階のマイルストーンのうち、Success 8「月周回軌道上でのすべての軌道制御マヌーバの完了」までを達成。Success 9で月面着陸の完了、Success 10で着陸後の安定状態を確保して、ミッションを開始する予定だった。