トピック
ノンカフェイン台頭の今、アイリスオーヤマはなぜ「緑茶」参入?【Watch+】
2025年6月7日 09:00
アイリスオーヤマが緑茶飲料事業に参入し、「アイリスのお茶 綠(りょく)」を6月2日に発売しました。2021年に飲料水事業に参入した同社が「お茶」を自社で製造・販売するのは今回が初となります。
筆者の中でアイリスオーヤマのお茶といえば「コーン茶(とうもろこしのひげ茶)」という印象が強くありました。6年くらい前の話ですが、同社家電製品の取材でオフィスを訪れたときに、飲み物としてコーン茶が提供され、「人気商品なんです」と教えてもらったことがあったのです。なおこちらは自社生産ではなく輸入商品とのこと。
今でこそコンビニや自動販売機でも見かけることが多いコーン茶ですが、当時はまだそこまで広まっていなかった印象です。なのでこの頃はコンビニなどでコーン茶を見かけると、アイリスオーヤマってかなり早くコーン茶に目をつけていたんだなと思っていました。
ちなみに最近は、カフェインを気にしてノンカフェインのお茶を飲む人が増えていて、その流れでノンカフェインのコーン茶が売れているようです。実際に、ポッカサッポロの「北海道コーン茶」は前年比194%の売上を記録しており、サントリーの「GREEN DA・KA・RA」シリーズでは、コーン茶が4月1日から新製品として登場しています。
コーン茶以外にも、ルイボスティーや麦茶などのノンカフェイン飲料は拡大しています。冬場のホット飲料コーナーでは、今まであまり見かけることがなかったルイボスティーや麦茶、黒豆茶、十六茶などノンカフェイン飲料のホットや、「白湯」もここ数年コンビニで販売されるようになりました。
筆者自身。カフェインを摂取すると夜中3時くらいまで寝られなくなる体質なので(普段は22時就寝)、日頃からノンカフェイン飲料をチェックしており、ここ数年商品が増えていて非常にありがたいなと思っているところです。
なので、このタイミングでアイリスオーヤマが「緑茶」を投入してきたのが正直疑問でした。以前から展開しているコーン茶が人気商品で、ノンカフェイン市場も拡大しているのに、なぜカフェインの入った緑茶? と。
発表会で同社執行役員の勝間氏に聞いてみると、「アイリスオーヤマのコーン茶は韓国からの輸入商品で、今回発売する緑茶『綠(りょく)』は自社で初めて製造・販売するお茶飲料。なぜ緑茶を選んだかは、茶系飲料市場は拡大しているが茶葉(緑茶)の年間支出金額は年々減少しており、日本の名産である緑茶を応援するため。また、既存工場の製造ラインと、緑茶の製造ラインの親和性が高かった」と回答をもらいました。
アイリスオーヤマは2013年に精米事業にも参入しており、先日も備蓄米の販売で話題となりました。さまざまな事業を通じて国産製品を応援し、日本の社会課題の解決に取り組んでいます。そうした一環として緑茶の供給量を拡大し、需要と雇用を創出しようとしているようです。
なお、2022年のデータではありますが、CCCマーケティングの調査では「無糖茶」カテゴリーの人気商品は、1位から順に「お~いお茶」「伊右衛門」「綾鷹」と緑茶がTOP3を占めています。
茶葉の年間支出金額は減っているとはいえ、お茶=緑茶というイメージは強く、アイリスオーヤマが自社生産で初めてお茶を販売するにあたり「緑茶」を選んだのは市場規模の大きさも理由の1つのようです。
現状、自社生産ではないけれど同社は既にノンカフェインのコーン茶が売れているということもあり、初の自社生産は緑茶、という風に舵を切れたのかなとも推測しています。
ちなみに発表会でもらった綠を試飲しましたが、苦みが少なくとても美味しかったです。普段はカフェインを摂取しないように生活しているので、久々に飲んだ緑茶の美味しさに感動しました。朝イチで少量だけ飲みましたが、その日は夜中1時まで目がギンギンになってしまったのでやはり筆者とカフェインの相性はまだ悪いようです。残念。
綠の販売状況を見て今後のラインナップ拡充を検討していくようなので、同社のお茶系飲料の広がりに期待したいと思います。